夕方、カーテンを閉めようとしたら、部屋の中を黒いものが横切った。最初は鳥だと思いました。でも、飛び方はひらひらとしていて、窓の高いところで壁にとまった。コウモリだと分かった瞬間、体が固まりました。夜になる前に何とかしなければ、と思いながらも、どうしていいか分からない。あの日いちばん怖かったのは、見つけたことより、家の中に侵入できる場所がある、という事実のほうでした。見つけた時点でできることは、思っていたより少ない。それでも、やったことと、やらなかったことを分けて残しておくと、あとで動くときに迷いませんでした。
コウモリは夕方から夜にかけて動き、気づいたときには天井裏や軒のすき間に入り込んでいる、という話をいくつか読みました。部屋で見かけることは、その一部が入ってきてしまった結果なのかもしれません。だから私は、目の前の一匹を何とかすることより、「どこから入ったのか」を後で確かめるほうが大事だと考えました。
室内で一匹を見かけたとしても、それだけで家の中に住みついているとは限りません。ただ、侵入口が一つあるということは、同じ道をもう一度使う可能性がある、ということでもありました。私は、その一点を出発点に考えることにしました。
見つけたその場で私がやったのは、次のことだけです。
追い出そうとして手を振り回すと、余計に近くを飛ぶことがあり、接触の機会が増えます。窓を開けて外へ出そうとしても、部屋の中を大きく飛び回ることがあります。私は、出口を作って静かに待つより、いったん部屋を仕切って、その場を離れることを選びました。家族には、近づかないことだけを伝えました。怖いまま、部屋の外で状況を見ているだけにしました。
コウモリに限らず、野生の動物は素手で触らないと決めています。弱っているように見えても、同じです。見た目が小さくても、野生の動物であることに変わりはありません。私が決めていたのは、「自分では触らない、捕まえない、薬剤も使わない」の三つでした。あらかじめ線を引いておくと、その場で迷わずに済みます。傷ついた個体を見つけたときの扱いは、自治体の窓口や専門の事業者に確認するものだと考えました。自分で捕まえる、袋に入れて外へ出す、ということはしませんでした。小さな子どもがいる家なら、なおさら慎重になる必要があります。
※この記事では、コウモリの捕獲や追い出し、薬剤の使い方は扱いません。健康や安全に関わる判断は、お住まいの自治体の相談窓口や専門の事業者に、体調に不安があるときは医療機関に確認してください。
翌日、明るい時間帯に、外から家のまわりを見て回りました。見たのは、次のような場所です。
見つけたすき間は、無理にふさがず、写真と方角だけを記録しました。ふさぎ方を自分で決めると、うまくいかなかったときに状況が分かりにくくなるためです。外から見える範囲だけで十分で、屋根に上る、天井裏に入るといった作業はしませんでした。記録しておくだけでも、「どこから入ったのか」を相談するときの材料になります。
私が整理したのは、次のことです。
夕方に見つけると、そのまま夜通し不安になります。ただ、夜に分かることは限られています。写真は、離れた場所から撮れる範囲で構いません。うまく撮れなくても、方角と場所が分かれば役に立ちました。私はその日はこれ以上何もせず、記録だけを残して翌日以降に動くことにしました。分からないことを、分からないまま抱え込まない。そこから相談が始まりました。
侵入口は、外から見ても分からないことのほうが多い場所です。見つけた状況を整理して相談すると、確かめてもらう範囲が具体的になります。
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