朝、洗濯物を取り込もうとして、軒下に見慣れない影があるのに気づきました。近づいて確かめようとして、途中で足が止まりました。あれは蜂の巣だった、と思います。でも、その場で近づいて確かめるのは危ない。怖いという気持ちより先に、「今ここで近づかない」という判断だけを決めて、家の中に戻りました。あとから振り返ると、あの日いちばん役に立ったのは、知識ではなく、近づかなかったことでした。
巣はどこにでもできるわけではなく、軒下、換気口のまわり、庭木の枝、物置のすき間など、雨をしのげて人の出入りが少ない場所に見つかることが多い、という説明をいくつか読みました。同じ「巣」でも、家のすぐそばか、庭の奥かで、こちらの動き方は変わります。たとえば洗濯物を干す動線の上にあるなら、その日から干す場所を変える必要があります。庭木の奥なら、しばらく近づかないだけで済むかもしれません。
大切なのは、危険かどうかを自分で決めることではなく、生活の中でどこを通らなくなるかを先に把握することでした。場所ごとに見立てが変わる、という前提でいたほうが、変に落ち着いて行動できます。
巣を見つけたときにやってはいけないことの一つは、様子を見ようと近づくことだと考えています。離れていても刺激になる場合がある、という話も目にしました。私は、棒でつつく、水をかける、煙でいぶす、といったことを思いついても、実行はしませんでした。日中か夜か、という時間帯を選べば安全、というものでもありません。時間帯によって動き方が変わるという一般論はありますが、それを自分で試す判断はしないと決めていました。
近づかない、大きな音を立てない、通り道を変える。それだけでも、刺される機会は減らせると考えました。確かめたい気持ちをこらえるのが、あの日いちばん難しかったことです。
※この記事では、巣の撤去や薬剤の使い方の手順は扱いません。健康や安全に関わる判断は、自治体の相談窓口や専門の事業者に、刺されて体調に不安があるときは医療機関に確認してください。
私が同じ家に住む家族に伝えたのは、巣の場所そのものより、「そこに近づかない」という約束でした。子どもは特に、見つけたものを確かめたくなります。だから、「見つけたら教えて」とだけ伝えて、自分では触らないようにしてもらいました。
洗濯物、庭仕事、ゴミ出しなど、家の人が通る動線を書き出して、しばらく変える場所を決めると、家族の中でも自然と共有できます。誰か一人が把握しているだけでは、別の人がうっかり近づいてしまいます。ペットがいる家では、散歩のコースや庭に出す時間も同じように見直す必要があると感じました。
相談や見積りを考えるときに、私が先に整理したのは次のことです。
これらは、私が調べて回ったというより、家の中から見える範囲で分かったことです。写真を撮るにしても、離れた場所から、近づかずに撮れる範囲で構いません。逆に、蜂の種類や数、出入りの多い時間帯のような、確かめようとすると近づく必要がある情報は、自分では集めないと決めていました。分からない部分は「分からない」と伝えればよい、と考えていたからです。どこまでが自分で確かめられる範囲かを先に決めておくと、相談するときも、動くときも、迷いが少なくなります。
巣は放っておいて自然に消えるものではありませんが、急いで何とかしなければ、と焦る必要もないと思います。私がその日にやったのは、家族に共有して、通る道を変えて、離れた場所から写真を一枚だけ撮っておくことでした。それ以上は、安全を確かめるすべを持たない自分にはできませんでした。
今も、巣の話をするのは気が進みません。ただ、見つけた日に近づかなかったことで、少なくとも自分から危険を取りに行くことは避けられました。確かめたい気持ちを、あの日はこらえられてよかったと思っています。
見えない場所や高い場所のことは、自分では確かめられません。場所や生活の動線を整理したうえで相談すると、話が進みやすくなります。
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